個人情報取扱事業者は、個人データの内容の正確性を確保する努力義務を負っています。
データ内容の正確性の確保
後述のとおり、この規定は、努力義務規定とされています。
(データ内容の正確性の確保等)
第二十二条 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。
個人データが対象
正確性確保の対象となっているのは、個人情報ではなく、個人データです。個人データに限定されているのは、簡単に検索できない散在情報としての個人情報まで正確性の確保を要求するのは、個人情報取扱事業者に過度の負担を課すことになることに配慮したものです。
なお、対象は保有個人データに限定されていません。したがって、個人情報取扱事業者が訂正・追加・削除の権限を有していない個人データも含まれることになります。
利用目的の達成に必要な範囲
個人データを常に最新の情報に更新することまでは要求されていません。これは、過去のある時点の事実を記録することが、利用目的の達成に必要な場合があるからです。また、個人データを更新する必要がある場合でも、利用目的に照らして、常に最新の状態に更新し続けることまで必要がない場合も想定されます。
したがって、あくまでも利用目的の達成に必要な範囲で、正確性を確保すれば足りるとされています。
正確かつ最新の内容
利用目的に照らして、最新の事実を一致することを意味します。ここでは、事実の問題であって、評価は含まないとされています。
努力義務
個人データの正確性の確保は,義務規定ではなく,努力義務規定です。これは,個人情報取扱事業者の利用する個人データや利用目的は多様であり,どの程度の正確性を確保しなければならないか,そのための措置として何が必要かも多様です。そのため,法律で一律に具体的に規定し,義務付けるのは適切ではないと説明されています。
また,対象が保有個人データではなく,個人データなので,データの入力業務を委託された業者など,自己の判断で個人データの訂正等ができない場合もあり,努力義務規定にとどまっている理由の一つとして挙げることができます。
個人データを遅滞なく消去
個人情報取扱事業者は,本人の同意なく,利用目的の範囲を超えて,個人情報を取扱うことができません(利用目的による制限参照)。そのため,利用目的を達成した個人情報は速やかに廃棄する必要があります。
利用目的を達成し,利用目的を変更して再利用することもない個人データを漫然と保有し続けることは,個人情報の漏洩等のリスクを高めることにつながります。そこで,個人情報保護法は,利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去する努力義務を課しています。