保有個人データの開示等請求に関して、事前の請求を取り上げます。
事前の請求
平成27年の個人情報保護法の改正で、保有個人データの開示(33条)、訂正等(34条)、利用停止等(35条)の請求について、訴えを提起できる請求権であることが明記されました。
しかし、即、訴訟提起できるわけではありません。本人は、まず、裁判外で、個人情報取扱事業者に対して、開示等の請求を行う必要があります。その請求後、2週間経過後又は事業者が請求を拒絶した場合に、初めて、訴訟提起することができます。
保有個人データの開示等の請求は、当事者間で任意に解決するのが迅速で、負担も少なく、望ましい在り方と考えられます。裁判上の請求が濫用的に行使され、適切に対応を行っている事業者に過度な負担が生じると、開示等請求の運用に支障が生じ、結果的に本人に不利益をもたらすことになります。
そこで、当事者間の任意の解決を促し、濫用的な訴訟を防止するため、開示等の請求について訴訟提起をするには、まず、裁判外で請求を行わなければならないとしました。
(事前の請求)
第三十九条 本人は、第三十三条第一項、第三十四条第一項又は第三十五条第一項、第三項若しくは第五項の規定による請求に係る訴えを提起しようとするときは、その訴えの被告となるべき者に対し、あらかじめ、当該請求を行い、かつ、その到達した日から二週間を経過した後でなければ、その訴えを提起することができない。ただし、当該訴えの被告となるべき者がその請求を拒んだときは、この限りでない。
2 前項の請求は、その請求が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 前二項の規定は、第三十三条第一項、第三十四条第一項又は第三十五条第一項、第三項若しくは第五項の規定による請求に係る仮処分命令の申立てについて準用する。