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雇止め法理


平成24年の労働契約法の改正により、いわゆる雇止め法理が明文化されるに至りました。

雇止めとは?

 有期労働契約の契約期間終了後に、使用者が契約の更新を拒絶することを雇止めといいます。この点に関して、民法の原則は次のとおりです。

 期間の定めのある労働契約の契約期間が終了すれば、契約の効力は当然に終了します。労働者も使用者も契約終了について特に理由も必要ありません。

 有期労働契約の更新は、新たな労働契約の締結です。したがって、更新するかどうかは、当事者の意思に委ねられています。ただし、労働者が所定の契約期間を経過して労働を継続し、使用者が異議を述べない場合は、労働契約は同一の条件で黙示に更新されたと推定されます(民法629条1項前段)。

 一時的・季節的な仕事で労使ともにその点を認識して労働契約を締結した場合、労働契約の契約期間が終了すれば、契約は当然に終了するので雇止めの問題が生じることはありません。

 仕事が一時的・季節的なものでなく、明示または黙示の労働契約の更新を繰り返してきた場合に雇止めが問題になります。

最高裁昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)

 2~3か月の短期の有期労働契約で雇用された臨時工が長期間にわたって労働契約の更新し続け、事実上常用化しているという事実関係において、最高裁は、反復継続された常用的臨時工の労働契約は実質的に期間の定めのない労働契約と変わりがなく、更新拒絶は解雇と実質的に同じであり、解雇に関する法理を類推適用しました。

最高裁昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)

 雇止め法理のリーディングケースとなった最高裁判決です。最高裁は、2か月の有期労働契約を5回更新された臨時工について、更新の度に本人の意思確認がとられていたので、期間の定めのない労働契約と同視はできないと判断しました。しかし、最高裁は、その雇用関係はある程度の継続が期待されたものであるから、雇止めに際して解雇に関する法理が類推され、解雇権の濫用で無効とされるような事実関係で、雇止めをしたなら、契約期間満了後は従前の労働契約が更新されると判断しました。

判例の雇止め法理

 解雇の法理が類推適用されるというのは、①期間満了に伴う労働契約の終了のためには、相応の理由のある更新拒絶の意思表示が必要であること、②更新拒絶の意思表示がないか、相応の理由がないときは、短期契約の自動的更新が行われるということを意味します。

雇止め法理の明文化

 労働契約法の改正により、雇止め法理が明文化されるに至りました。雇止め法理について規定した労働契約法19条は、これまでの判例法理を明文化したと説明されていますが、判例と異なる要件を規定しています。

労働契約法19条の要件

 労働契約法19条が規定する雇止め法理の要件は、次のとおりです。

雇止め法理の要件

①有期労働契約の契約期間が満了するまでに労働者が契約更新の申込みをした場合又は期間満了後遅滞なく有期労働契約の申込みをした場合で

②過去に反復継続されたものであって、雇止めをすることが期間の定めのない労働契約を締結している労働者を解雇することと社会通念上同視できること又は当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められること

③使用者が当該申込みを拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき

 ①の要件は、判例の雇止め法理では明示されていませんでした。もっとも裁判で争われたのは、労働者が更新を求めたのに対して使用者が拒絶した事案であること、法定更新という効果を生じさせるには労働者による契約更新の求めを要件とすべきとされ、規定されるに至りました。

 労働者による契約申込みは、黙示の申込みでよいとされています。使用者の雇止めに対して遅滞なく異議を述べれば更新又は契約締結の申込みをしたとされます。

無期転換ルールとの関係

 労働契約法に無期転換ルールが規定される際に,5年超直前の雇止めを促進するのではないか?という議論がなされました。ここでの議論は通算契約期間が5年を超えないように使用者が雇止めを行うのが労働契約法に違反しないか?ということです。

 労働契約法の改正後も5年を超えた反復継続しない有期労働契約による短期雇用は許容されています。そのため,会社が一定職務のために,たとえば3年間のみ使用する労働者を雇用するとの経営方針を明示し1年契約で更新限度は2回という労働契約を締結することは,契約時に明確に説明し合意すれば許容されるとされています。


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