同一労働同一賃金ガイドライを踏まえ、各種手当の同一労働同一賃金の基本的な考え方を紹介します。
同一労働同一賃金ガイドライ
パート有期法15条1項・労働者派遣法47条の11に基づき、正社員と非正規労働者との間の不合理な待遇の禁止等に関する指針として定められたのが、同一労働同一賃金ガイドライ(厚生労働省告示第430号)です。
ガイドライン自体は法令ではありません。しかし、その内容は、実務上、正社員と非正規労働者間の待遇の相違の不合理性を判断する際に参考になると思われます。
各種手当の待遇の相違の不合理性の判断
まず、比較的、不合理性の判断が容易な各種手当の基本的な考え方を紹介します。
各種手当については、その手当の性質及び支給している目的に照らして、その目的が非正規労働者にも当てはまる場合は、正社員と同じ支給をすることが求められます。
同一労働同一賃金ガイドライに記載のない住宅手当や家族手当等についても、その手当の性質・目的に応じた判断をすることになります。
役職手当
役職手当は、役職に伴う特別な職責に対して報酬として、その役職の内容に対して支給するものと考えられます。
正社員と同一の内容の役職に就く非正規労働者に対しては、正社員と同じ役職手当を支給する必要があります。役職の内容に一定の相違がある場合は、その相違に応じた役職手当を非正規労働者に支払う必要があります。
ガイドラインでは、同じ役職でも短時間労働者に対して、勤務時間に比例した役職手当を支払うことは、問題ないとされています。
特殊作業手当
特殊作業手当は、特殊な作業に伴う特別な危険・負荷に対する代償として支給される手当と考えられます。
正社員と同じ危険度又は作業環境の業務に従事する非正規労働者には、正社員と同じ特殊作業手当を支払う必要があります。
特殊勤務手当
特殊勤務手当は,交代勤務など特殊な勤務形態に就くことによる特別な負荷等に対する代償として,支給される手当と考えられます。
正社員と同じ勤務形態で業務に従事する非正規労働者には,正社員と同じ特殊勤務手当を支給する必要があります。
ガイドラインでは,以下の場合は,問題ないとされています。
正社員は,入社時に,交替制勤務に従事することが必ずしも確定しておらず,業務の繁閑等生産の都合に応じて通常勤務又は交替制勤務のいずれにも従事する可能性があり,交替制勤務に従事した場合に限り特殊勤務手当が支給されている。短時間労働者には,採用に当たり,交替制勤務に従事することを明確にし,かつ,基本給に,正社員に支給される特殊勤務手当と同一の交替制勤務の負荷分を盛り込み,通常勤務のみに従事する短時間労働者に比べ基本給を高く支給している。以上を前提に,正社員には特殊勤務手当を支給しているが,短時間労働者には特殊勤務手当は支給していない。