同一労働同一賃金ガイドライを踏まえ、各種福利厚生について、基本的な考え方を取上げます。
健康診断に伴う勤務免除や有給
健康診断に伴う勤務免除等は、安心して健康診断を受診できることによる健康確保が目的と感がられます。
したがって、非正規労働者に対しても正社員と同様に付与する必要があります。
病気休暇・傷病休職
病気休暇や傷病休職は、解雇を猶予することで安心して休職し、健康回復を図ることが目的と考えられます。
非正規労働者に対しても正社員と同様に付与することが必要です。ただし、有期雇用労働者については、契約の残存期間が少ない場合は、期間満了まで付与すれば足ります。
ガイドラインは、労働契約の期間が1年である有期雇用労働者について、病気休職の期間は労働契約の期間が終了する日までとすることを問題ない例として挙げています。
有給での病気休職
病気休暇、傷病休職に関し、休職中の賃金保障について、正社員と非正規労働者の間で相違を設けることが認められるか?という問題があります。
最高裁判決は、労働契約法旧20条の解釈として、病気休職中の有給保障の性質・目的を長期継続勤務の確保にあるとし、相応に継続継続的な勤務が見込まれる契約社員には、その趣旨が妥当すると判断しています。
日本郵便事件最高裁判決は、勤続10年以上の契約社員について無休扱いとすることは不合理と判断しています。一方、大阪医科薬科大学事件最高裁判決は、勤続2年ほどのアルバイト職員の無休扱いは不合理ではないと判断しています。
上記と別の日本郵便事件では、勤続5年以上の契約社員について無休扱いは不合理と判断した大阪高裁の判断を最高裁は、上告不受理で確定させています。
最高裁が明言しているわけではありませんが、相応に継続勤務が見込まれる契約社員とは、勤続5年以上を目安にしているのではないかと思われます。