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無期転換ルール


先日、人材派遣会社の調査で非正規雇用労働者の85.7%が無期転換ルールを知らないとの調査結果が出されたという報道がありました。そこで、無期転換ルールを取り上げます。

無期転換ルールとは?

 平成24年の労働契約法の改正によって、「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が,当該使用者に対し、現に締結有期労働契約の期間満了までの間に、当該満了日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす」という規定(労働契約法18条1項)が設けられました。

 これを無期転換ルールといいます。

無期転換ルールの要件

 無期転換ルールの要件は、①同一の使用者との間の2つ以上の有期労働契約の②通算契約期間が5年を超えることです。

同一使用者との間の2つ以上の有期労働契約

 使用者とは、労働契約の当事者としての事業主(個人・法人を問わない)のことです。同一の使用者かどうかは、事業主単位で判定されます。

 同一事業主の複数の事業場において有期労働契約を順次締結してきた場合は、この要件を満たします。しかし、法人格の異なる複数の会社と順次有期労働契約を締結しても、この要件は満たしません。親子会社やグループ会社であっても、法人格の否認がなされない限りは、この要件を満たすことはありません。

 ただし、会社の合併や分割によって、労働契約が他の事業主に包括的に承継された場合は、合併・分割前の会社と後の会社は同一の使用者として扱います。

通算契約期間が5年を超える

 無期転換ルールが規定された労働契約法は、平成25年4月1日に施行されました。施行日である平成25年4月1日以後に締結された有期労働契約が、締結日から5年を超えることが必要です。

無期転換申込権

 無期転換ルールは、上記の要件を満たせば、自動的に有期労働契約が無期労働契約になるわけではありません。労働者が無期転換申込権を行使することで、その効果が発生します。

 通算契約期間が5年を超えて無期転換申込権が発生したら、その有期労働契約の契約期間満了までに行使しなければ、無期転換申込権は消滅します。その後は、有期労働契約の更新ごとに、無期転換申込権が発生します。

クーリング期間

 労働契約法改正の際に、有期労働契約の利用を阻害しすぎないようにという趣旨で、有期労働契約と次の有期労働契約の間に一定期間を置くことで、契約期間を通算しない制度を設けました。この一定期間をクーリング期間といいます。

 有期労働契約と次の有期労働契約の間に6か月以上の空白期間がある場合は、契約期間は通算されません(労働契約法18条2項)。

 空白期間の直前に満了した有期労働契約の契約期間が1年未満の場合は、その契約期間の2分の1以上の空白期間がクーリング期間です。この場合、1か月未満の端数は切り上げます。たとえば、契約期間が6か月の場合、クーリング期間は3か月以上となります。

無期転換ルールの効果

 労働者が、無期転換申込権を行使することにより、使用者は、有期労働契約の契約期間満了日の翌日から期限の定めのない労働契約の申込みを承諾したものとみなされます。

 したがって、有期労働契約の契約期間満了日の翌日から期限の定めのない労働契約が成立します。転換後の労働条件については、有期労働契約中の労働条件と同じ労働条件です(労働契約法18条1項)。正社員と同じ労働条件になるわけではありません。

 労働条件について別段の定めがある場合は、その定めによります。別段の定めは、労働協約、就業規則、個別労働契約のいずれでもかまわないとされています。


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