スマホを買う際に知っておくと、もしかしたら役に立つかもしれない法律を紹介します。ちなみに、スマホ本体の購入ではなく、回線契約についての法律です。
電気通信事業法
紹介する法律は、電気通信事業法です。平成27年に改正され、平成28年5月21日から施行されています。
電気通信事業法の改正によって、携帯電話サービス・光インターネットサービス等の電気通信サービスについて、一定の消費者保護が図られるようになりました。
事業者の説明義務
高齢者等の配慮が必要になる利用者に対して、知識・経験・利用目的に配慮した説明を契約締結前にすることが義務付けられています。
携帯電話サービスの契約は、いわゆる2年縛りになっていることが通常です。契約の自動更新の際に、利用者へ事前通知することが義務付けられています。
書面交付義務
携帯電話サービス契約等の契約締結後、遅滞なく、契約書面を利用者に交付する義務があります。
契約書面には、以下の事項が記載されています。
契約書面の記載事項
①電気通信事業者の名称・連絡先
②電気通信役務の内容(名称・種類・品質等)
③料金その他の経費
④割引条件
⑤契約変更・解約の連絡先・方法・条件等
⑥契約特定事項(契約者番号)
⑦料金支払の時期・方法
⑧サービス提供開始予定時期
⑨付随する有料オプションの名称・料金・解約条件等
また、適用対象である場合は、上記に加え、⑩初期契約解約制度の詳細、⑪確認措置に関する事項が記載されます。
初期契約解除制度
携帯電話サービス等の契約において、クーリングオフに似た制度が初期契約解除制度です。一定の場合、利用者の一方的な申出で契約を解除することができます。
対象となるサービス
初期契約解除制度の対象となるのは、以下のサービスです。
①MNOの携帯電話端末サービス、無線インターネット専用サービス
DoCoMo、au、SoftbankのキャリアをMNOといいます。MNOのスマホやガラケー向けの音声通話サービスやモバイルルーターやタブレット用のデータ通信専用サービスのことです。
プリペイドの場合は、対象外です。また、後述の確認措置を受けている場合も対象外です。
②MVNOの無線インターネット専用サービス
いわゆる格安SIMのデータ通信専用サービスのことです。MVNOの場合は、契約期間拘束のあるものが対象です。
MVNOの場合、音声通話は対象外とされています。これは、MNPによるキャッシュバック目当ての契約解除を防止するためです。
③固定通信
光回線、ケーブルテレビによるインターネットサービス、光回線・DSL回線向けのインターネットサービスが対象になります。
解約期間・方法
上記の対象サービスについて、契約書面の受領日から8日間が経過するまでは、利用者が書面を事業者に送付することで契約解除ができます。解除の理由は問いません。
また、クーリングオフと異なり、店舗での契約・インターネットでの契約等の契約形態は問いません。
なお、携帯電話端末サービス等の移動通信サービスで、サービスの提供開始日が契約書面の受領よりも遅い場合は、サービスの提供開始日を初日として計算します。
スマホ等の端末
初期契約解除制度は,対象サービスを解除することができる制度です。移動通信サービスと一緒に購入したスマホなどの端末の割賦購入契約を解除することはできません。
また,契約解除までに利用したサービスの利用料や契約解除までに行われた工事費用,事務手数料は支払う必要があります。工事費用と事務手数料は法律で上限が定められています。
確認措置
初期契約解除制度では,端末の割賦購入契約まで解除することはできません。しかし,端末も含めて解約できる確認措置の認定を受けた移動通信サービスは,初期契約解除ではなく,確認措置が適用され,端末も含めて解約できる場合があります。
確認措置の対象は,店舗販売又は通信販売による移動通信サービスで,総務大臣が認定したものです。解約できる場合は,①電波の状況が不十分な場合,②事業者による説明等が不十分な場合に限られます。これらの場合も,まずは,電波がつながらないとか,説明が不十分であったことを事業者に申出て,対応を求めることになります。