個人情報保護法は,個人情報を取得した段階で,その利用目的を通知・公表する義務を課しています。

利用目的の通知・公表

 利用目的の通知・公表義務は,個人データに該当しない個人情報についても課される義務です。

 個人情報を取得したのが,改正個人情報保護法施行前(平成29年5月29日以前)であれば,この義務は課されません。ただし,取得した個人情報が施行後(平成29年5月30日以後)に保有個人データに該当する場合は,保有個人データの利用目的等の公表義務を負います(27条1項2号)。

個人情報保護法18条

1 個人情報取扱事業者は,個人情報を取得した場合は,あらかじめその利用目的を公表している場合を除き,速やかに,その利用目的を,本人に通知し,又は公表しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は,前項の規定にかかわらず,本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は,あらかじめ,本人に対し,その利用目的を明示しなければならない。ただし,人の生命,身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は,この限りでない。

3 個人情報取扱事業者は,利用目的を変更した場合は,変更した利用目的について,本人に通知し,又は公表しなければならない。

4 前三項の規定は,次に掲げる場合については,適用しない。

 ①利用目的を本人に通知し,又は公表することにより本人又は第三者の生命,身体,財産その他の権利利益を害するおそれがある場合

 ②利用目的を本人に通知し,又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合

 ③国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって,利用目的を本人に通知し,又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 ④取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合

あらかじめ利用目的を公表

 個人情報保護法は,事前の利用目的の公表までは義務付けていないことがわかります。これは,事前に公表することで,機動的な事業経営を行うことの障害となる可能性があるからだと解されています。

利用目的を本人に通知し,又は公表

 利用目的を本人に通知又は公表することは,自分の個人情報がどのように利用されるかを認識させ,不安を解消するとともに,目的外利用等の疑義が生じた際に苦情申立て等を可能にする意味合いを持っています。

 そのため,本人に通知するのが確実で望ましいのですが,高度情報通信社会が到来していて,膨大な個人情報が取得・利用されているので,直接,本人に通知することを原則とすると,個人情報取扱事業者に過大な負担を負わせることになるとともに,本人にも不必要な負担をかけるおそれがあり,個人情報保護法は公表でも足りることにしました。

 なお,通知の方法は,書面に限らず,電子メール,FAX,口頭でも可能です。公表もHP上での公表やパンフレットへの記載,事業者の窓口への掲示等の方法で足ります。

直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合

 この規定が想定しているのは,商品・サービス等の申込書,アンケート,懸賞の応募はがき等に個人情報の記載を求める場合です。

 このような場合,あらかじめ本人に利用目的を明示しなければ,個人情報を取得することができません。

 契約書その他の書面と,書面による個人情報の取得に限定しているのは,口頭で取得された個人情報がデータベース化される可能性が低いのに比べ,書面で取得された場合はデータベース化される可能性が高いとの考慮によります。

 利用目的を明示することを義務付けているのは,本人に利用目的を明確に認識させるためであるので,たとえば,書面の裏側に微細な文字で記載しているような場合は,この義務を果たしたことにならないと解されています。

取得の状況からみて利用目的が明らか

 この規定は,利用目的を通知・公表することで,もたらされる利益がないにもかかわらず,通知・公表を義務付けるのは,個人情報取扱事業者に過大な負担を課すことになることを理由に,適用除外とされています。

 たとえば,宅配サービスを利用した際に,氏名,住所等を尋ねられるのは,宅配サービスを確実に行うためであることが明らかで,あえて利用目的を通知・公表する義務を課す必要性は乏しいと思われます。