年俸制の場合の残業代の計算方法を取り上げます。基本的に,厚労省の通達の内容に即して記載しています。

年俸制であっても残業代は支払わなければならない

 年俸制は,労働者の能力や成果を基準に年単位で賃金を設定する制度です。年俸制を採用したことを以って,労基法の時間外労働の割増賃金の支払義務がなくなるということはありません。

 したがって,年俸制の場合も,毎月,残業代の有無・金額を確定して,所定の賃金支払期限までに残業代を支払わなければなりません。

年俸制の場合の残業代の計算方法

 残業代を計算するには,1時間当たりの賃金の単価を算出する必要があります(月給制の場合は,1時間当たりの単価を参照)。

 年俸制の場合,(年俸÷12)÷1年間の1か月平均所定労働時間数が,1時間当たりの単価ということになります。

年俸の中に賞与が含まれている場合

 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は,残業代の計算の際に基礎となる賃金に含みません(残業代の基礎となる賃金参照)。典型的にはボーナス,つまり,賞与です。

 年俸制の場合で,毎月支払部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は,臨時に支払われる賃金にも1か月を超える期間ごとに支払われる賃金にも該当しないので,賞与部分も含めて残業代を計算する必要があります。

年俸の中にあらかじめ残業代が含まれている場合

 固定残業代と同様に扱います(固定残業代の話し参照)。つまり,通常の労働時間の賃金と割増賃金に該当する部分とが区別され,かつ,割増賃金に該当する部分が労基法所定の割増賃金以上であれば,問題はありません。

 年俸制で,予め,年間の割増賃金相当額を各月均等に支払うことにしている場合,各月の割増賃金相当額が各月の実際の時間外労働時間数で計算した残業代よりも低い場合は,労基法に違反していることになります。