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未払残業代の支払いと税金


未払い残業代が訴訟の提起等によって支払われた場合、税金はどのようになりますか?

給与は源泉徴収される

 使用者が労働者に対して、給与を支払う場合、使用者は所得税等を源泉徴収します(所得税法183条1項)。残業代が本来の給与の支払い日に支払われる場合、使用者は、当然、源泉徴収を行っています。

 では、未払いの残業代を使用者に請求し、支払われることになった場合、源泉徴収や税金の関係はどうなるのでしょうか?

未払残業代の支払いについても源泉徴収義務はある

 未払いの残業代が支払われる場合、①残業代、②遅延損害金、③付加金の3つが支払われる可能性があります。付加金の話しは、別の機会にしますが、労基法114条に基づく金銭です(付加金参照)。

支払われる金銭源泉徴収の有無所得分類
①残業代必要給与所得
②遅延損害金不要雑所得
③付加金不要一時所得

 残業代は、当然、給与なので、使用者に源泉徴収義務があります。本来支払われるべき年の給与所得になり、年末調整(所得税法190条)もやり直すことになります。

 遅延損害金は、給与ではなく、雑所得と解されているようです。付加金は、通達によると一時所得に分類されています。これらについては、源泉徴収する必要はありません。

強制執行で回収した場合

 未払い残業代の請求を認める判決がなされたにもかかわらず、使用者が支払いをしないので、労働者が強制執行をして、回収した場合、使用者の源泉徴収義務はどうなるのでしょうか?

 最高裁平成23年3月22日判決は、源泉徴収について任意の支払いと強制執行の場合を区別していないので、強制執行の場合も源泉徴収義務を負うと判断しています。

 強制執行の場合、労働者に直接支払われるので、使用者は、源泉徴収相当額を差引くことができません。しかし、源泉徴収義務は消滅しないので、源泉徴収税額は負担する必要があります。したがって、使用者は、労働者に対して、源泉徴収相当額を不当利得として返還請求することができます。

解決金の場合

 残業代請求は、和解で解決することの多い事案です。労働審判や訴訟で和解が成立した場合、使用者から支払われる金銭の名目を「解決金」や「和解金」にすることが多いです。

 解決金の所得区分は、名目にかかわらず、実態に即して判断されます。解決金名目で和解した場合も「残業代」の部分と「遅延損害金」の部分を区別し、残業代部分については、源泉徴収義務があると解されています。

 ただ、どのように区別するのか?は、客観的な基準はなく、合理的な基準で区別することになります。


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