改正民法における解除の規律について取り上げます。

契約の解除

 現行民法は,法定解除権の発生原因として,債務不履行を挙げています。そして,解除権の発生について催告が必要かどうかで分けることができます。

催告解除の要件

 現行民法における催告解除の要件は,次のように解されています。

 (1)債務者の債務不履行

 まず,債務者が債務を履行しない,つまり,履行遅滞に陥ることが要件になります。そして,解除が認められるには,債務不履行について債務者の帰責事由が必要とするのが従来の通説です。

 (2)債権者による催告

 次に,債権者が債務者に対して相当の期間を定めて,債務の履行を催告する必要があります。

 (3)催告期間内の不履行

 (2)の催告にもかかわらず,催告期間内に債務者が債務を履行しないことが要件になります。

無催告解除の要件

 催告解除が原則ですが,現行民法は,以下の2つの場合,無催告解除を認めています。

①定期行為

 契約の性質や当事者の意思表示によって,特的の日時又は一定の期間内に債務を履行しなければ,契約の目的が達成できないことを定期行為といいます。

 定期行為の場合,債務者が履行遅滞に陥った場合,債権者は,催告を必要とせず,契約を解除できます。

②履行不能

 債務が履行不能になった場合,債権者は,催告を必要とせず,契約を解除することができます。ただし,履行不能が債務者の帰責事由によらない場合は,解除することはできません。

改正民法における解除

 改正民法は,解除を債務不履行を受けている債権者の契約の拘束から解放する制度と位置付けました。そのため,債務者の帰責事由を解除の要件から外しました。

改正民法における催告解除

 債務不履行について,債務者の帰責事由は要件となりません。しかし,催告期間経過時の債務不履行が軽微である場合,解除することはできません。軽微かどうかは,契約及び取引上の社会通念に照らして判断されることになります。

 要件を整理すると,次のようになります。

 (1)債務者の債務不履行

 (2)債権者による催告

 (3)催告期間内の不履行

 (4)催告期間経過時の不履行が軽微ではない

改正民法における無催告解除

 現行民法は,①定期行為と②履行不能について規定していました。改正民法は,それらに加え,一部の履行不能,一部の履行拒絶についても規定しています。

①定期行為の解除

 改正民法も現行民法と同じ規律です。

②履行不能による解除

 改正民法では,債務者の帰責事由が不要で,債務の履行が全て不能である場合,無催告で解除が認められます。

 債務の一部が不能の場合,債権者は契約の一部を解除することができます。また,債務の一部が不能で,残存する部分のみでは契約をした目的を達成できない場合は,契約全部の解除が認められます。この場合も催告は不要です。

③履行拒絶

 改正民法は,債務者が債務の履行を明確に拒絶した場合,次のように規定しています。これらの場合,催告は不要です。

 なお,債務の履行を明確に拒絶した場合とは,履行不能と同様に扱っていい程度と解されていて,単に債務者が履行拒絶の意思を表明しているだけでは足りないと解されています。

 (1)全部の履行拒絶の場合,契約全部を解除できます。

 (2)一部の履行拒絶の場合,契約の一部を解除できます。

 (3)一部の履行拒絶で,残存部分のみでは契約の目的を達成できない場合,契約全部を解除できます。

④催告を行っても履行を受ける見込みがないことが明らかな場合

 改正民法は,債務者が債務を履行せず,債権者が催告しても契約目的を達成するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかな場合,無催告解除を認めています。