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法定審理期間訴訟手続の話し


2026年5月までに開始される予定の民事裁判の法定審理期間訴訟手続の概要を説明します。

民事訴訟法の改正

 2022年5月に民事裁判のIT化を進めるため、民事訴訟法が改正されました。

 この民事訴訟法の改正で、民事裁判のIT化と関係のない法定審理期間訴訟手続が新設されます。法定審理期間訴訟手続は、2026年5月までに開始される予定です。

法定審理期間訴訟手続

 法定審理期間訴訟手続は、通常の民事裁判の手続を簡略化し、審理期間を短縮するための手続です。

 民事訴訟法381条の2以下に規定が新設されました。

法定審理期間訴訟手続の対象

 法定審理期間訴訟手続の対象となるのは、以下の場合です(民訴法381条の2第2項)。

法定審理期間訴訟手続の対象となる事件

①原告・被告の当事者双方が法定審理期間訴訟手続を利用する申立てを行った場合

②原告・被告の当事者の一方が、法定審理期間訴訟手続を利用する申立てを行い、相手方に異議がない場合

 消費者契約に関する訴訟と個別労働関係の民事訴訟は対象外とされています(民訴法381条の2第1項但書)。

法定審理期間訴訟手続の審理

 民事裁判を法定審理期間訴訟手続で行うことになった場合、①2週間以内に最初の口頭弁論期日又は弁論準備期日が指定されます(民訴法381条の3第1項)。②最初の期日から6か月以内に口頭弁論を終結する期日、つまり、審理を終了する期日が指定されます(民訴法381条の3第2項)。③口頭弁論期日の終結日から1か月以内に判決が言渡されます(民訴法381条の3第2項)。

 つまり、法定審理期間訴訟手続は、6か月間で審理が終了します。それに伴い、原告・被告は、自分の主張を記載する準備書面を最初の期日から5か月間しか提出することができません(民訴法381条の3第3項)。証拠についても、最初の期日から6か月間しか提出することはできません(民訴法381条の3第5項)。

 なお、裁判所は、当事者双方の意見を聴いた上で、上記の準備書面や証拠の提出期限を短くすることもできます。

 このように、原告・被告は、限られた期間で主張・立証をしなければなりません。

法定審理期間訴訟手続の判決

 法定審理期間訴訟手続の判決については、電子判決書に、①事実として、請求の趣旨・原因、その他の攻撃防御方法の要旨と②理由として、原告・被告当事者双方との間で確認した事項(民訴法381条の3第4項)を記載することになっています(民訴法381条の5)。

電子判決書

 民訴法改正により、民訴法252条の判決書の規定が改正され、電子判決書となります。法定審理期間訴訟手続だけでなく、通常の民事訴訟でも判決書は、電子判決書になります。

 判決の言渡しの際に作成する判決書を電磁的記録で作成しなければならないという規定です。

法定審理期間訴訟手続の判決に対する不服申立て

 法定審理期間訴訟手続の判決に対して、控訴することはできません(民訴法381条の6)。

 不服申立ては、異議申立てを行うことになります(民訴法381条の7第1項)。

 控訴と異なり、異議申立てを行った場合、口頭弁論終結前の状態に戻り、通常の民事裁判として審理・裁判されます(民訴法381条の8第1項)。つまり、一度、判決を言渡した同じ裁判官が、改めて、正式な判決を言渡すということになります。異議申立後の判決に対しては、控訴することができます。

通常訴訟への移行

 法定審理期間訴訟手続で審理を開始した場合でも、原告・被告の当事者の双方又は一方から通常訴訟に移行させる申出があった場合は、通常の訴訟に移行します(民訴法381条の4第1項1号)。

 通常の訴訟手続に移行しても、裁判官が変わるわけではなく、引き続き同じ裁判官が審理を担当します。


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