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令和3年相続法改正による遺産分割のルール変更


令和3年に成立した改正相続法が2023年4月1日に施行されました。相続法によって変更される遺産分割のルールを取上げます。

所有者不明土地解消のための法改正

 不動産登記を確認しても所有者がわからない又は所有者が判明しても連絡が取れないといった所有者不明の土地が問題となっています。所有者不明の土地が生じるのは、不動産を相続したものの相続登記をしないことなどが原因です。

 そこで、所有者不明土地の問題を解消するために、不動産登記法の改正、相続土地国庫帰属制度の創設、民法の改正が行われました。

相続法の改正

 民法の改正は、相隣関係・共有・所有者不明土地・建物管理制度などと並び相続法も改正されました。

 相続法の改正により遺産分割の規定が改正されました。一連の改正の内、遺産分割の新たなルールをまとめておきます。

所有者不明土地の解消と相続法の改正

 相続が発生した時点で相続人が複数存在する場合、遺産である相続財産は、相続人の共有(遺産共有)となります(民法898条1項)。

 遺産共有を解消するために、遺産分割を行う必要があります。しかしながら、遺産分割がなされずに相続が繰り返される場合があります。この場合、多数の相続人による遺産共有状態になります。遺産の管理・処分が困難になるだけではなく、相続人の一部が所在不明になり、所有者不明土地が生じてしまいます。

 そこで、所有者不明土地を解消するために、遺産分割を早期に行う方向で相続法が改正されました。

遺産分割

 遺産共有を解消するために、遺産分割を行う必要があります。遺産分割は、相続人全員の協議又は家庭裁判所の調停・審判によって行います。

 遺産分割は、法定相続分ではなく、具体的相続分を基準に行います。

指定相続分

 指定相続分とは、遺言によって被相続人が指定した相続分(民法902条1項)のことです。

法定相続分

 被相続人による相続分の指定がない場合に、民法が定める相続分が適用されます(民法900条)。この相続分を法定相続分といいます。たとえば、相続人が配偶者と子2人の場合、配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は4分の1ずつです。この相続分を法定相続分といいます。

具体的相続分

 具体的相続分とは、指定相続分・法定相続分を修正した相続分です。相続人の具体的相続分は事案によって様々ですが、下記の計算式で算出します。

具体的相続分の算出方法

みなし相続財産の価額×法定相続分-特別受益の価額+寄与分の価額

具体的相続分による遺産分割の制限

 遺産分割に消滅時効は存在しません。そのため、相続人が早期に遺産分割を行う必要が生じません。遺産分割が行われずに放置されると、所有者不明土地が生じるリスクが高くなります。

 そこで、相続法改正により、具体的相続分による遺産分割を相続開始から10年に制限することにしました(民法904条の3)。

(期間経過後の遺産の分割における相続分)

第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

 相続開始から10年を経過すると、遺産分割は、指定相続分又は法定相続分を基準に行います。したがって、特別受益(民法903条)や寄与分(民法904条の2)を主張することができなくなります。

 たとえば、相続人の一人が生前に被相続人から多額の金銭を受け取っていた(特別受益)という事情があっても、相続開始から10年を経過するとそのことは遺産分割において考慮されません。

 もっとも、10年経過後も相続人全員の合意があれば、具体的相続分による遺産分割は可能とされています。もっとも、特別受益や寄与分が問題になる場合に、相続人全員が合意できることは、ほとんどないのではないかと思います。

相続法改正前に相続が開始した場合

 上記の内容の改正相続法は、2023年4月1日に施行されます。2023年3月31日以前に相続が開始した場合も改正法が適用されます。ただし、5年間の猶予期間があります。

2023年4月1日時点で相続開始から10年経過している場合

 2023年4月1日から5年間が猶予期間です。5年の猶予期間(2028年4月1日)を経過すると、具体的相続分による遺産分割を主張することはできません。

相続開始から10年経過するのが2028年4月1日を経過するより前の場合

 2023年4月1日から2028年4月1日までの5年間の猶予期間の間であれば、具体的相続分による遺産分割を主張できます。

相続開始から10年経過するのが2028年4月1日を経過した後の場合

 相続開始から10年間は、具体的相続分による遺産分割を主張できます。相続開始から10年を経過すると、具体的相続分による遺産分割は主張できません。


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