不貞行為を理由とする損害賠償請求と人訴法8条1項

不貞行為を理由とする損害賠償請求と人訴法8条1項の関係について判断した最高裁決定を紹介します。

離婚請求の原因である事実によって生じた損害賠償請求

 離婚請求の原因である事実によって生じた損害賠償請求は,離婚訴訟と併せて家庭裁判所に提起することができます(人訴法17条1項)。また,すでに離婚訴訟事件が係属している家裁に提起することもできます(人訴法17条2項)。

 さらに,離婚請求の原因である事実によって生じた損害請求訴訟が第1審裁判所に係属している場合,係属している第1審裁判所は,相当と認めるときは,申立てにより,その訴訟事件を離婚訴訟が係属している家裁に移送することができます(人訴法8条1項)。

最高裁平成31年2月12日決定

 人訴法8条1項は,家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第1審裁判所は,相当と認めるときは,申立てにより,当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができることなどを規定している。その趣旨は,人事訴訟と審理が重複する関係にある損害賠償に関する請求に係る訴訟について,当事者の立証の便宜及び訴訟経済の観点から,人事訴訟が係属する家庭裁判所に移送して併合審理をすることができるようにしたものである。

 離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合において,被告が第三者を相手方として提起した不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は,人訴法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たる。