フリーランス保護法の概要－募集情報の適格表示義務－

2024年11月に施行されるフリーランス保護法が定める就業環境の整備の内、募集情報の適格表示義務をまとめておきます。

フリーランス保護法における就業環境の整備

　フリーランス保護法は、フリーランスの保護のため、①取引の適正化と②就業環境の整備の2つを規律しています。

　②就業環境の整備として、以下の4つの義務を定めています。

　フリーランスに業務を委託する特定業務委託事業者は、以下の義務を負っています。

①募集情報の適格表示義務

②育児介護等と業務の両立に対する配慮義務

③ハラスメント対策に係る体勢整備義務

④中途解除等の事前予告・理由開示義務

　特定業務委託事業者は、広告等で特定受託事業者の募集を行う場合、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示をしてはいけません。さらに、正確かつ最新の情報に保つ必要があります。

　適格表示の対象となるのは、以下の5つの事項です。これらの事項を表示しなければならないわけではありません。表示する以上は、虚偽表示等をしてはいけないという義務です。

①業務の内容

②業務に従事する場所・期間・時間に関する事項

③報酬に関する事項

④契約の解除・不更新に関する事項

⑤特定受託事業者の募集を行う者に関する事項

　対象となる広告等は、以下の6つです。一般にイメージする広告よりも広い概念となっています。

①新聞・雑誌に掲載する広告

②文書の掲出・頒布

③書面の交付

④FAX

⑤電子メール、DM機能のあるSNSを含むメッセージアプリ等

⑥テレビ・ラジオ等の放送・有線放送

　⑥には、Webサイトやクラウドソーシングサービスのプラットフォーム等も含みます。

　広告等に掲載した募集情報から実際の契約内容の変更が、当事者間の合意による場合は、義務違反とはなりません。以下のような場合は、適格表示義務違反となると考えられています。

①意図的に実際の報酬額よりも高い金額を表示する

②実際に募集を行う会社と別の会社名で募集する

報酬額の表示が、実際の報酬額よりも高額かのように表示する

すでに募集が終了しているにもかかわらず、削除せずに表示している

　特定業務委託事業者が、他の事業者に広告等による募集を委託した場合に、委託した事業者が、虚偽表示等をしていることを認識した場合は、①委託した事業者に、情報の訂正を依頼し、②委託した事業者が情報を訂正したかどうかを確認する義務を負います。

　なお、特定業務委託事業者が、情報の訂正の要請を繰返し行ったにもかかわらず、委託した事業者が訂正しない場合、特定業務委託事業者はフリーランス保護法違反にはならないとされています。