労働者が無期転換申込権を行使した後の労働条件と同一労働同一賃金について取上げます。
無期転換申込権と無期転換後の労働条件
有期労働契約を更新して通算契約期間が5年を超える場合、労働者は無期転換申込権を行使することができます。
労働者が無期転換申込権を行使すると、使用者である会社は、労働者の申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法18条1項前段)。つまり、有期労働契約の満了日の翌日から無期労働契約が成立することになります。
無期労働契約に転換された後の労働条件は、有期労働契約中の労働条件と同じ労働条件となります(労働契約法18条1項後段)。

無期転換申込権については、以下の「無期転換ルール」を参照
無期労働契約への転換と同一労働同一賃金
いわゆる同一労働同一賃金の根拠規定であるパート有期法8条は、無期労働契約の労働者(正社員)と有期労働契約の労働者(パート等)の間の不合理な待遇を禁止する規定です。

同一労働同一賃金については、以下の記事参照
無期労働契約の転換後の労働者は、有期労働契約の労働者ではありません。したがって、パート有期法8条は適用されません。民法90条・709条、労働契約法3条2項などの一般法理の問題となります。
裁判例では、無期労働契約転換後の賃金格差はパート有期法8条に違反しないが、不合理な賃金格差であるとして、不法行為に基づく損害賠償請求を認めた判決があります(京都地裁令和7年2月13日判決)。
同一労働同一賃金ガイドラインの改正
同一労働同一賃金ガイドラインが2023年に改正され、無期労働契約転換後の労働条件を決定に際し、就業の実態に応じて正社員との均衡を考慮した事項を労働者に説明する努力義務が定められました。
さらに、2026年10月1日施行の同一労働同一賃金ガイドラインの改正により、無期労働契約転換後の労働条件の決定に当たっては、正社員との間の不合理と認められる待遇の相違の有無についてあらかじめ点検し、そのような待遇の相違がある場合には、確実に解消することを会社に求めています。


