変形労働時間制には,①1か月単位の変形労働時間制,②1年単位の変形労働時間制,③1週間単位の変形労働時間制の3つがあります(変形労働時間制と残業代請求参照)。

 今回は,変形労働時間制のうち,①1か月単位の変形労働時間制を取り上げます。

1か月単位の変形労働時間制

 1か月以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間40時間を超えない定めをした場合,特定された週において1週間の法定労働時間または特定された日において1日の法定労働時間を超えて労働させることができます。

 この1か月単位の変形労働時間制は,変形労働時間制の中でもっとも基本的な変形労働時間制です。

1か月単位の変形労働時間制を採用するための要件

 事業場の労使協定または就業規則その他これに準じるものによって定める必要があります。労使協定で定めた場合は,労基署長に届出る必要があります。

 10人以上の労働者を常に雇用している事業場では,就業規則によるべきで,それ以外の場合のみ,「準じるもの」の定めでいいとされています。「準じるもの」で定める場合は,労働者への周知が必要です。

単位期間と労働時間の総枠

 1か月単位の変形労働時間制の単位期間は,起算日を明らかにして特定した1か月以内の一定期間です。単位期間1か月の労働時間の総枠は31日の場合は,次のとおり177.1時間と計算されます。

 40時間×{4週間+(3日/7日)週}=177.1時間

就業規則で毎労働日の始業・終業時間の特定が必要

 1か月単位の変形労働時間制では,法定労働時間を上回る週または日を特定し,かつ,単位期間を平均して1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えないことを明らかにするため,各週・各日の所定労働時間を労使協定・就業規則で特定する必要があります。

 そして,常時10人以上労働者を雇用している事業場では,就業規則で始業・終業時刻を特定することを義務付けられています。

 そうすると,就業規則で単位期間内の毎労働日の労働時間を始業・終業時刻ともに就業規則で特定しなければならないということになります。労使協定で1か月単位の変形労働時間制を採用した場合も同様です。

 就業規則や労使協定で変形労働時間制の基本的内容と勤務割の作成手続きを定めるだけで,使用者が任意に労働時間を決めれるような制度は労基法違反になります。

 なお,業務の実態上,就業規則または労使協定による特定が困難な場合,変形労働時間制の基本事項を定めた上で,労働者の労働時間を1か月ごとに勤務割表によって特定していくことが認められています。