残業代請求において,労働時間が争点になることがあります。そして,タイムカードの打刻時間と労働時間との関係が問題になることがあります。

タイムカードによる労働時間の管理

 使用者は,労働者の労働時間を適正に把握しなければならないという労働時間適正把握義務を負っています(労働時間適正把握義務参照)。

 厚労省の通達では,タイムカード,ICカード等の客観的な記録を基礎とし適正に記録するようにとされているので,労働時間をタイムカードで管理している会社も多いと思います。

労働時間は使用者の指揮命令下にある時間

 労働時間は,使用者の指揮命令下にある時間のことです。労働者の出社時刻・退社時刻と労働の開始・終了時は区別されるのが通常です。

 タイムカードの打刻時刻は,外形的な出社時刻や退社時刻を明らかにするにすぎないのです。タイムカードの打刻時刻が所定労働時間より早かったり,遅かったりしても,そのことを以ってタイムカードの打刻時刻が使用者の指揮命令下にあった時刻となるわけではありません。

タイムカードの時間が労働時間と推認される場合

 使用者がタイムカードの記録に基づいて,時間外労働,深夜労働,休日労働の労働時間数を計算している場合,タイムカードは労働者の勤務時間の始点・終点を明らかにする目的で記録されているといえます。そのような場合は,特段の事情がない限り,タイムカードの記録によって労働時間の始点・終点を推認するのが合理的だと解されます。

 したがって,通常,タイムカードの記録を前提に労働時間を把握することになります。

始業時刻前にタイムカードを打刻するのが通常

 始業時刻に関しては,始業時刻前にタイムカードに打刻されるのが一般的です。そのため,始業時刻前にタイムカードの打刻があっても,通常は,始業時刻に近い時間に打刻されているので,残業代等の請求に当たっては,所定の始業時刻から労働を開始したとして計算するのが原則です。