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民事執行法の改正と財産開示手続


改正民事執行法が2020年4月1日に一部を除いて施行されます。財産開示にを取上げます。

財産開示手続

 財産開示手続は、一定の債務名義を有する債権者の申立てにより、裁判所が債務者を呼び出し、非公開の期日で、債務者に宣誓をさせ、自分の財産について明らかにさせる制度です(民事執行法196条以下)。

 しかし、債務者が財産開示手続期日に裁判所に出頭しなくても、拘引することはできず、過料の制裁にとどまります。また、出頭した債務者が虚偽の陳述をしても過料の制裁にとどまります。そのため、財産開示手続は、実効性が乏しく、年間1,000件前後と利用は低迷しています。

 今回の民事執行法の改正の大きな点の一つは、債務者の財産の開示制度の実効性を向上させようというものです。その一環で財産開示手続について改正がなされています。

申立権者の拡大

 改正法では、財産開示手続の申立権者が拡大されます。

 改正前は、債務名義が仮執行宣言付判決、執行証書、支払督促等の場合は、財産開示手続手続を申立てることができませんでした。改正後は、執行力のある債務名義であればよく、債務名義による制限がなくなります(民事執行法197条1項)。そのため、仮処分の執行でも財産開示手続を申立てることができると考えられます。

罰則の強化

 改正前は、債務者の不出頭や虚偽陳述に対しては、過料の制裁を科すのみでした。改正後は、刑事罰とし、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります(民事執行法213条1項5号・6号)。

不奏功要件は存続

 以上のように、財産開示手続の実効性を確保する改正が行われましたが、財産開示手続の要件の一つである不奏功要件は維持されました(民事執行法197条1項1号・2号)。

 したがって、これまでと同様に、①強制執行又は担保権の実効による配当で完全な弁済を受けることができなかったとき又は②知れてる財産に強制執行をしても完全な弁済を受けられないことの疎明が必要です。


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