法律事務所エソラ

大阪市東淀川区阪急淡路駅・西口すぐの法律事務所、債務整理・交通事故・労災・残業代請求は無料相談実施中

事前予約で夜間・土日祝日の相談も可能です06-6195-6503受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

メールでのお問合せはこちら お気軽にお問い合わせください

法定養育費制度の話し


令和6年5月の家族法改正により養育費の規定が新設されました。その内の法定養育費を取上げます。

家族法の改正

 共同親権の導入等を内容とする民法の家族法の改正法が、令和6年5月17日に成立し、同24日に公布されました。

 なお、改正法の施行は公布日から2年以内の政令で定める日となっています。

養育費の規定の新設

 家族法の改正では、養育費に関する多くの規定が新設されました。

法定養育費制度

 民法は、父母が協議離婚する場合、子の監護に要する費用の分担等必要な事項を協議で定め、協議が調わない場合は家庭裁判所が定める(民法766条1項・3項)と規定しています。

 しかし、日本では、養育費について取決めをしない協議離婚で多く、養育費を請求するのに、家庭裁判所での調停・審判が必要で、親権者の負担が大きいといった問題があります。

 そこで、父母が子の監護に要する費用の分担について取決めをせずに、離婚した場合に、法律上、当然に養育費の請求ができる法定養育費制度(民法766条の3)が導入されます。

(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)
第七百六十六条の三 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。
一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日
二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日
三 子が成年に達した日
2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。
3 家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

発生要件

 法定養育費が発生するのは、上記のように、父母が養育費の取決めをせずに、協議離婚をした場合です。

 裁判上の離婚等にも準用されます。

請求権者

 法定養育費を請求できるのは、離婚時から引続き子の監護を行う父母のどちらかです。

法定養育費の金額

 法定養育費の金額は、子の最低限度の生活維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて省令で定めることになっています。

 その具体的な金額は、まだ明らかになっていません。

法定養育費の始期・終期

 法定養育費は、離婚の日の属する月から請求できます。

 法定養育費をいつまで請求できるのか?は、以下のいずれか早い日です。

法定養育費の終期

①養育費の分担について協議が成立した日

②養育費の分担について審判が確定した日

③子が成年に達した日

債務者による支払拒絶

 法定養育費は、養育費の取決めをせずに協議離婚をした場合に、当然に発生します。債務者の収入等の資力について考慮していません。そのため、債務者の支払能力を超える債務を負担することになる場合も想定されます。

 このような場合、債務者に支払を拒絶することを認めています。債務者は、支払能力がない又は養育費を支払うことで生活が著しく窮迫することを証明すれば、法定養育費の全部又は一部の支払を拒絶できます。

裁判所による免除

 協議離婚時に養育費の取決めをせず、その後に、家庭裁判所で養育費の分担について調停・審判を行う場合も法定養育費は発生しています。

 家庭裁判所は、過去の法定養育費について、支払能力を考慮して、全部又は一部の免除又は支払猶予その他相当な処分を命じることができます。 


PAGE TOP